出版物流通の豆知識
昨日、ジュンク堂・梅田茶屋町出店の記事を書いたのですが、かなりのインパクトがあったようです。ジュンク堂 国内最大・梅田茶屋町出店の激震!
そこで、一年前くらいにも書いたのですが、出版物の流通がどうなっているのか?
あまり知られていないようなので、これを豆知識として、かるく書いてみたいと思います。
まず、書店と出版社の間には取次と呼ばれる卸売会社が介在しています。ほとんどすべての商業出版物は取次経由で、市場に流れているのですね。
本の好きなひとなら、本は奥付から読むとか言われたものです。最近はあまり見なくなったのですが、ちゃんとした雑誌には、以前は奥付によく取次店が書いてありました。
「取次店:東販・日販・大阪屋・栗田・中央」といった具合に書いていました。
素人でも、どんな取次があるのか、序列とかも分かったものです。正式名称でなく略称で書いていました。日販は「日本出版販売」だし、栗田は「栗田出版販売」が株式会社を省いた正式名になります。大阪なら律儀にフルネームで書くところを、あくまで略称とはこれが東京流かなと、思ったものです。
新文化オンラインにもでてきましたが、主帳合は「大阪屋」とありました。
『10月29日には福島・郡山市のうすい百貨店内にワンフロア700坪で出店。月商目標は5000万円。主帳合は大阪屋』・・・とか。
主帳合という言い方は知りませんでした。わたしは業界人じゃありませんので。あくまで知識欲で流通を研究しているだけです。
ですが、これで読めることは、ジュンク堂のメインの仕入れ先は大阪屋だと思います。
取次は大きく分けて、総合取次と専門取次という言い方もできます。特殊な本を専門に扱うのが専門取次になります。日教販という取次などは教科書メインとかですね。
で、出版物の取次は二大取次会社が圧倒的に大きなシェアを持っています。日販と略称される「日本出版販売」と東京出版販売から社名変更した「トーハン」です。この2社で70%以上のシェアだそうです。
取次は10数社くらいでしょうか。大阪屋以外すべて東京です。大阪屋はなにわ筋の西区新町二丁目にある会社で、業界3位の取次会社です。大阪屋の建物は元「新町演舞場」だったそうです。
昨夜、すこしインターネットで見てみたのですが、大阪屋はこの4~5年で売上を伸ばしているようです。前期売上高1280億円だそうです。
新文化オンラインにもありましたが、出版不況と言われながら、なぜ伸びているのか? よく分かりませんけれども、全国のジュンク堂の仕入れが大阪屋メインとすれば大きいですし、ネット通販の大手アマゾンも大阪屋がメインの仕入れです。取次が介在するのはネット通販も例外ではないようです。
トーハン・日販が2大取次で圧倒的規模ですが、歴史的にみると、大阪屋も総合取次の一角といえそうです。つまり巨大書店を取り仕切る力がある。書店は基本委託販売ですから在庫なども取次依存の部分が多いのですね。
トーハン・日販・大阪屋以外の取次は、栗田・中央社・太洋社・日教販・地方小出版流通センターなどがあります。
出版物流通の源流は、戦時国策による昭和16年に設立された日本出版配給株式会社設立が大きなエポックになっています。政府は全国の取次240社あまりを強制的に解散させ、これらを統合した一元的配給会社が設立されました。
トーハン・日販・大阪屋の3社が他とちがうところは、戦後昭和24年、日本出版配給の閉鎖から、それを母体として設立されたのです。
栗田出版販売も中央社も昭和16年にいったんは日本出版配給に統合されましたが、戦前から存在し、戦後再度分離した会社です。
戦後、日本出版配給は事実上3社に分割されて、できた会社がトーハン・日販・大阪屋と理解するのが分かりやすいです。
長くなるので、このへんにします。素人の記述ですから、ピント外れや誤りがあればご指摘くださればありがたいです。
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